金融庁は5月8日、ネット証券口座への不正アクセス・不正取引被害が急増しているとして、最新の状況を公表した。4月単月での被害が特に大きく、被害が確認された証券会社は累計で9社に上った。
不正アクセス被害は4月だけで4852件、不正取引被害は同じく2746件に上り、3月(不正アクセス1420件、不正取引687件)を大きく上回った。売却された株式は約1481億円、買い付けられた株式は約1308億円で、いずれも月別で最多となっている。
1月から4月にかけての累計不正アクセス件数は6380件、不正取引は計3505件に上った。売却された株式の金額は総額約1612億円、買い付けられた株式は約1437億円に達した。
いずれも、証券会社を装った偽サイトに誘導し、入力させたログイン情報を使って口座内の資産を勝手に動かしたケースとみられる。金融庁は「どの証券会社でも発生し得る」とコメント。利用者に対し、メッセージに掲載されたリンクを開かない、多要素認証(ワンタイムパスワードなど)を設定するなどの対策を呼び掛けている。
被害の広がりを受け、日本証券業協会は5月2日、ネット証券など10社が一定の補償を行う方針を申し合わせたと発表した。約款にかかわらず、個別の事情を踏まえて対応する。補償を決定したのは、SMBC日興証券、SBI証券、大和証券、野村證券、松井証券、マネックス証券、みずほ証券、三菱UFJeスマート証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、楽天証券の10社。
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